「何を作ってもらおうかなー?」
デイサービスセンターでの陶芸教室、
長年やっているとネタが尽きてきます。
「今、こけしが流行ってるらしいですなー。
この間、テレビでやってましたな。」という利用者さんとの会話から、
「そうや!こけし、作りましょか!」と粘土でこけし作りをしました。
こけしやだるま、お年寄りには馴染み深いもののようで、
せっせと作っておられます。
「私は命の次に陶芸の時間が大事なんじゃ。」
毎回毎回、陶芸の時間を楽しみにしておられるF原さん。
物作りが大好きで、信心深いF原さん。
「私はいろんな仕事をしてきた」と話し始めると
F原さんの歴史のドラマを見ているようです。
田舎で百姓仕事をし、炭を焼き、
戦時中は学徒動員で弾丸作りの工場で働き、
町に出てきてからは皮の手袋作りや食堂で働いて。
いつも一生懸命に働いてきたF原さんの姿を思い浮かべながら、
話に聞き入ってしまいます。
「思うように作れん、、、。目が二重に見えるし、
手は震えるし、、、。」
なかなか自分の納得のいくものができませんが、チビこけしはみんなに大人気。
どんどん作ってどんどんプレゼントしておられます。
動物好きのN川さん。
娘のところに世話になってるから、作っても持って帰れない、
と陶芸には消極的な日が多いですが、
ふくろうを見本に持って行くと、
「私、ふくろう大好きや。私の家にはふくろうたくさん飾ってたんや。」
とやる気満々。黙々と仕上げてくれました。
ふくろうを作りましょう、と作り始めたら
「やっぱり顔はむつかしなー」と人間の顔を作ってくれていたSさん。
わー、なんか彫刻みたいですねー。
先日、大好きなM子さんが入所施設に移り、
デイサービスセンターの利用が終わったことを知りました。
もうこけしの絵付けをしてもらえない、、、。
1人暮らしが限界だったそうです。
周りを気にせず、どんどん自分流に作り上げる能力は素晴らしかった。
おもしろいものをいっぱい作ってくれました。
1人暮らしの下駄箱の上に
所せましと勢ぞろいしていた作品たち、
見てみたかったなー、、、。
別れと出会いの場、デイサービスセンターです。